2009年度 全国アンケート結果の公開
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今年もご協力頂きましてありがとうございました。下記に御協力頂いた施設一覧を掲載しております。
スライド12009年1月1日-12月31日までの1年間に行われた冠動脈外科手術に関する全国アンケート調査結果の年次報告をする。 今回のアンケートでは全国の419施設に依頼し、295施設から回答をお寄せ頂き、回答率は70.4%であり、前年度(69.4%)より増加した。 詳細で複雑な内容にも関わらずず多くの施設,先生方にご協力を頂き,この場にて厚く御礼を申し上げる。 今回は、前回に引き続いて手術手技別の合併症としてのstroke (脳血管に関する有害事象)の発生率を調査するとともに、新たに心破裂を発生機序により分類し、その成績調査も行った。 |
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スライド2このアンケート調査は、日本冠動脈外科学会の全国アンケート調査委員会において、その内容や調査・集計方法を検討し、それに基づいて行っているものである。 1996年の第一回日本冠動脈外科学会からこの調査を行っており、それ以来今回で15年連続15回目の調査である。 これらのデータは本年度からリニューアルした日本冠動脈外科の公式ホームページにおいて過去のデータと共に公開しており、どなたでも閲覧、ダウンロード可能であり、我が国の冠動脈外科における基礎的データとして、多くの方々に広く引用されている。 |
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スライド3回答を頂いたアンケートのデータを集計した結果,分析の対象となった冠動脈バイパス術は14,262例,単独冠動脈バイパス術は10,659例、合併手術は3,603例であった。 前回に比して、単独手術の割合が減少し、逆に合併手術率が増加した。 単独手術のうち初回待機的冠動脈バイパス術は8,974例で,このうちoff-pumpが5,939例,on-pumpが3,035例であった。 Off-pumpの施行率は前回の調査とほぼ同様の66%で、依然として高い施行率であった。 一方、緊急、再手術などの初回待機手術以外のバイパス術は1,685例で、この内半数の50%がoff-pumpで行われ、前回より施行率は減少した。 |
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スライド4スライドは1996年以降のoff-pump CABGの施行率の年次変化を示したものである.Off-pumpはこの10年間で急激に増加しており、2003年に初めて50%を越えたoff-pumpは2004年に62%とさらに増加した。 その後2年間は61%がoff-pumpで行われた。 前回はさらに増加し、単独冠動脈バイパス術では初回待機的手術の65%がoff-pumpで行われた。 今回の調査でも0ff-pumpの施行率は66%と前回とほぼ同様の高い施行率であった。 最近は6年連続で60%を超えており、スタンダードな冠動脈バイパス手術術式として確立している。 |
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スライド5初回待機手術ので術式の内訳を示す。 初回待機手術のうち、on-pump(心停止)は24.2%に行われ、前回(26.2%)よりこの割合はやや減少した。 On-pump(心拍動)は9.6%に行われ、これは前回(8.6%)より増加している。 Off-pump総数5,939例のうち、最後までoff-pumpで行えた(完遂)のは98.2%であり、途中でon-pumpへ移行したのは1.8%であった。 これは前回の2.4%より減少し、移行を回避するための様々な工夫がなされた結果であると思われた。 |
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スライド6手術手技別の成績(死亡率)を示す。 単独冠動脈バイパス全体(総数)の死亡率は2.12%で、前回(1.46%)より上昇した。 単独初回待機手術の死亡率も1.20%と前回(0.81%)よりも増加し、両者とも最近数年の調査では良くない成績であった。 このうち、on-pump(心停止)の死亡率は0.60%で、onpump(心拍動)は1.98%であった。 Off-pumpを完遂できた症例の死亡率は1.22%と前回(0.62%)よりも上昇し、成績は悪化した。 また、同様にoff-pumpから途中でon-pumpに移行した症例は死亡率6.42%と前回(1.34%)よりさらに著明に手術成績は悪化した。 |
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スライド7単独手術総数と初回待機手術の死亡率の年次推移を示す。 両者の死亡率は年々低下していたが、単独手術総数の死亡率は2.12%と上昇し、ほぼ6年前の成績に戻った。 また、初回待機手術の死亡率は2005年で初めて1%を切り、その後1%を下回っており、前回も0.81%と最良の成績を示したが、今回(2009年)の死亡率は上昇し、1.20%と再び1%を超えた。 これらの手術成績が悪くなった明らかな原因は不明であるが、症例がより重症化し、高齢化したことなどが考えられる。 |
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スライド8Off-pumpに関する詳細な調査を行った2004年以降における単独初回待機手術の手技別死亡率の年次年次推移を示す。 Offからon-pumpへの移行症例の死亡率は2006年までは上昇したが、最近の2年間で低下に転じており、前回は1.43%と最良の成績であった。 しかし、今回は6.42%と再び上昇に転じた。 これは移行率が低下し、総数が減少したことも影響しているが、改めて本症例の成績向上が、解決すべき課題であることを再認識させられた。 その他の手術手技の死亡率は比較的安定していたが、off-pump(完遂)症例の死亡率は今回は1.22%と前回(0.62%)に比べて上昇した。 |
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スライド9初回待機手術全体の病変数による成績を示す。 横軸は病変数別の割合を、縦軸はその死亡率を示す。 初回待機手術全体の死亡率は1.20%と前回(0.81%)よりも上昇したが、比較的良好であった。 3枝病変が全体の47.4%と最多を占め、その死亡率は1.25%と良好であった。 LMT+3枝病変が最も死亡率が高く、1.41%であった。 |
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スライド10初回待機手術off-pumpの完遂症例の病変数による成績を示す。 同様に横軸は病変数別の割合を、縦軸はその死亡率を示す。 初回待機手術off-pumpの完遂症例の死亡率は1.22%と前回の0.62%より上昇し、成績は悪化した。 3枝病変が全体の45.5%と最多を占め、その死亡率は1,28%であった。 LMT+1枝病変が最も死亡率が高く、1.73%であった。 |
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スライド11初回待機手術on-pump心停止症例の病変数による成績を示す。 同様に横軸は病変数別の割合を、縦軸はその死亡率を示す。 初回待機手術on-pump心停止症例の死亡率は0.60%と前回(0.90%)より低下し、その成績は著明に向上した。 これも3枝病変が全体の51.5%と最多を占め、その死亡率は0.71%と良好な成績であった。 LMTを含む病変を有する症例でもその死亡率はいずれも低く、良好な成績を示した。 |
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スライド12初回待機手術のoff からon-pumpへの移行症例の病変数による成績を示す。 同様に横軸は病変数別の割合を、縦軸はその死亡率を示す。 初回待機手術のoff からon-pumpへの移行症例の死亡率は6.42%となり、昨年(1.34%)よりも死亡率は著明に上昇した。 これは移行率が前回の2.4%から1.8%に減少したことに伴って、症例数が149から109に減ったため、より鋭敏に死亡率に反映されたものと思われた。 しかしながら、この成績の悪化は本症例の成績向上が解決すべき課題であることを再認識させられた。 |
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スライド13初回待機手術on-pump心拍動症例の病変数による成績を示す。 同様に横軸は病変数別の割合を、縦軸はその死亡率を示す。 初回待機手術on-pump心拍動症例の死亡率は1.98%で、前回(1.81%)とほぼ同様の成績であった。 これも3枝病変が全体の49.3%と最多を占め、その死亡率は1.89%であった。 LMT+3枝病変の死亡率が4.30%と最も高い死亡率を示した。 |
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スライド14初回待機以外(再手術、緊急手術)の手術全体の病変数による成績を示す。 同様に横軸は病変数別の割合を、縦軸はその死亡率を示す。 初回待機以外の死亡率は7.06%と依然として高かったが、これは昨年の死亡率4.91%より上昇しており、成績は悪化していた。 これも3枝病変が全体の31.8%と最多を占めた。 死亡率が最も高かったのはLMT+2枝病変を有するもので、その死亡率は9.62%であった。 |
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スライド15初回待機以外(再手術、緊急手術)の手術総数の手術手技による成績を示す。 同様に横軸は手術手技の割合を、縦軸はその死亡率を示す。 このうち、ちょうど半数(50.0%)がoff-pumpで行われ、その死亡率は4.98%と前回の2.55%より、死亡率は上昇し、成績は悪化した。 また、on-pump(心拍動)の死亡率は11.78%、on-pump(心停止)の死亡率は7.13%とこれらも依然として高かった。 |
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スライド16手術手技別のバイパスグラフト本数の割合を示す。 横軸は割合を示す。 4枝以上を4枝として計算した全体の平均バイパス本数は2.98で,前回の2.95より増加し、さらにより多くのバイパスをする傾向にあった。 手術手技別に,上からon-pump(心停止)が3.22本、on-pump(心拍動)が3.00本、off-pumpからon-pumpへの移行症例が3.03本であった。 一番下がoff-pump(完遂)で2.89本で、全ての術式でバイパス本数は前回とほぼ同等か、前回を上回った。 |
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スライド17今度は逆にバイパスグラフト本数別の手術手技の割合を示す。 横軸は割合を示す。 1枝バイパスの87.0%はoff-pumpで行われた。 バイパス本数が増加するにつれ、off-pumpで行われる割合が減少し、on-pumpの施行率が増加する。 しかし、4枝以上のバイパスの半数以上(60.6%)はoff-pumpで行われた。 これは昨年の56.5%よりも割合は増加し、例年通り、多枝バイパスでもよりoffpumpで行う傾向が強くなっている事を示している。 |
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スライド18障害枝別の手術手技の割合を示す。 横軸は割合を示す。 1枝病変の86%がoff-pumpで行われた。 障害本数が増加するにつれ、off-pumpで行われる割合が減少し、on-pumpの施行率が増加する傾向がある。 LMT病変を含む症例も同様の傾向であるが、LMT+3枝病変の半数以上(59.4%)がoff-pumpで行われた。 これは昨年の62%よりも若干割合が低下したが、多枝病変でも、よりoff-pumpで行われる傾向を示した。 |
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スライド19障害枝別のoff-pump(完遂)とon-pump(心停止)症例の手術成績の比較を示す。 縦軸は死亡率を示す。 総数ではon-pump(心停止)の死亡率0.60%とoffpump(完遂)の死亡率1.22%より良好な成績を示した。 全ての病変でのon-pump(心停止)の死亡率の方が低く、より良い成績を示した。 前回はoff-pump(完遂)の方が成績は良い傾向にあったが、今回のこの結果は前回と全く逆であった。 |
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スライド20障害枝別からみたoff-pumpからon-pumpへの移行率を示す。 全体では昨年の2.4%から今回の1.8%と移行率は低下した。 1枝病変の移行率は1.6%と極めて低く、これは昨年と同様であった。 障害枝が多くなり、重症化するにつれてon-pumpへの移行率が増加する傾向がある。 LMT+3枝病変の移行率は1.9%であったがこれは昨年の2.7%より低かった。 これらの結果は移行を回避するための様々な工夫がなされた成果を示していると思われた |
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スライド21グラフト吻合箇所別からみたon-pumpとoff-pumpの比較を示す。 横軸は割合を示す。 バイパスを吻合した冠動脈の場所,あるいは吻合の有無により6通りに分類した。 上からRCA,LAD,LCXであり,それぞれ上がon-pump(心停止)、下がoff-pumpである。 Off pumpでもon-pumpでもLADへのバイパス吻合は高率であり、on-pump(心停止)で97%、off-pumpでも95%の症例でLADへのバイパス吻合が行われていた。 また,RCA,LCXへのバイパス吻合はon-pump(心停止)の手術でoff-pumpより高率に行われていた。 |
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スライド22吻合部位の有無からみたoff-pumpとon-pumpへの移行率の関係を示す。 横軸は症例の割合である。 上の3段がそれぞれの冠動脈にバイパスを吻合した症例で、下の3段がそれぞれにバイパスを吻合しなかった症例で,どの程度の割合でoff-pumpから移行したかを表している。 LADにバイパスを吻合しなかった症例の2.1%がoffpumpを完遂できず、on-pumpへ移行し、これは他に比べ若干高い確率であった。 すなわちLADにバイパス吻合をしなかった(あるいはできなかった)症例でonpumpへの移行率が高いことがわかる。 これは前回の調査(LADにバイパスをしなかった症例のoffからon-pumpへの移行率が8.5%)でも同様の結果であった。 |
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スライド23次に初回待機手術における年齢分布を男女別に示す。 全体の77.5%が男性で、女性は22.5%であった。 男女比はこのところ常にほぼ一定である。 男性のピークは前回と同様に60歳代から70歳代に移行し、今回も同様であった。 女性のピークは以前から70歳代であり,年齢分布に変化はない.男性の死亡率は1.01%と前回の0.90%に比してほぼ同様であったが、女性の死亡率は2.10%と前回の0.64%より成績は悪化した。 |
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スライド24初回待機手術における高齢者の割合の年次推移を示す。 70歳以上は2000年では39.3%であったが、今回は49.4%に増加し(前回49.6%)、80歳以上の症例は2000年は4.3%であったが、今回は9.9%を占めるまで増加した(前回9.2%)。 年々、高齢者の割合は増加している。 |
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スライド25各年齢層における死亡率の年次推移を示す。 以前は高齢者ほど死亡率が高かったが、年々高齢者の死亡率が低下する傾向にあった。 今回は70歳台の死亡率が1.11%とほぼ横ばいであったが、80歳以上の死亡率は2.59%と前回の1.30%に比して上昇していた。 |
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スライド26単独バイパス手術におけるグラフトの選択を示す。 バイパスの延べ本数は27,706本であり、動脈グラフトの内、左内胸動脈が最も頻用されて、35.2%と前回の36.1%よりやや低下してものの、他の動脈グラフトより、多く使用されていた。 動脈グラフトでは、次に右内胸動脈、橈骨動脈、胃大網動脈の順であった。 動脈グラフト総数の割合は60%であり、これは昨年の63%より低下したが、相変わらず高い動脈グラフト使用率を示した。 一方、静脈グラフトは39.8%に使用され、前回の使用率36.9%よりも増加し、近年、静脈グラフトが使用される割合が増加する傾向にある。 |
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スライド27全単独冠動脈バイパス手術におけるstroke(脳血管に関する有害事象)の手術手技別の発生率示す。 Strokeは72時間以上継続する中枢神経系由来の神経学的欠損で、非可逆的脳障害あるいは永続的な身体的障害を伴うものと定義した。 全単独バイパス症例10,659例中、strokeを起こした症例は107例で、全体の発生率は1.004%であった。 手技別の発生率はoff-pump:0.67%(45例/6646例)、on-pump(心拍動):1.38%(17/1225)、on-pump(心停止) :1.54%(41/2652)、offからon-pumpへの移行:2.94%(4/136)であった。 4群間での検定をχ2-testとKruskal-Wallis testを用いて、多重比較はTukey法を用いて検定を行った。 その結果、off-pump(完遂)群とon-pump(心停止)群、off-pump (完遂)群とoffからon-pumpえの移行群との間に有意差が認められた。 他は統計学的に有意差は認められなかった。 以上の結果から、off-pumpは脳血管に関する有害事象を有意に避けることができる手技であることが示され、改めてoff-pumpの安全性が証明された。 |
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スライド28ここからは急性期心筋梗塞合併症に対する手術成績を述べる.心室中隔穿孔の手術成績の年次推移を示す。 横軸は年次、縦軸は死亡率である。 心室中隔穿孔の手術成績は、最近10年間はほぼ横ばいの状態である。 今回の手術死亡率は35.37%であったが、これは前回の23.60%より上昇した。 |
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スライド29心室中隔穿孔の手術成績の内訳を示す。 横軸は症例数を示す。 心室中隔穿孔の手術は昨年212例に行われ、死亡率は35.37%であり、前回の23.60%より上昇し、成績は悪化した。 このうちバイパス術を同時に行った症例は89例(42%)で、その死亡率は47.19%で、行わなかった123例(58%)の死亡率は26.82%であった。 |
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スライド30梗塞部位と手術手技別にみた心室中隔穿孔の手術成績を示す。 横軸は症例数を示す。 前壁梗塞に伴う症例は合計142例に行われ、全体の死亡率は21.1%であり、前回の18.8%より上昇した。 このうちDagett法は21例(15%)に行われ、その死亡率は19.05%であり、Komeda法は111例(78%)に行われ、その死亡率は20.72%であった。 後壁梗塞に伴う症例は合計70例に行われ、全体の死亡率は64.2%であった。 そのうちDagett法は30例(43%)に行われ、その死亡率は30%であり、Komeda法は24例(34%)に行われ、その死亡率は87.50%であった。 これらの成績は前回より悪化していた。 前壁梗塞に比べて、後壁梗塞に伴う心室中隔穿孔の成績は不良である。 |
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スライド31左室乳頭筋断裂の手術成績の年次推移を示す。 左室乳頭筋断裂の手術成績は最近10年は変わっておらず、相変わらず高い死亡率であった。 前回の死亡率は9.52%と低下したが、今回の手術死亡は29.16%と上昇した。 |
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スライド32左室乳頭筋断裂の手術成績の内訳を示す。 横軸は症例数を示す。 左室乳頭筋断裂の手術は24例に行われ、死亡率は29.16%であり、前回の9.52%より著明に上昇し、成績は悪化した。 このうちバイパス術を同時に行った症例は19例(80%)で、その死亡率は36.84%で、行わなかった5例(20%)の死亡率0%であった。 |
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スライド33心破裂の手術成績の年次推移を示す。 心破裂の手術成績は1980年代、90年代は年々向上してきたが、最近10年はあまり変わっておらず、相変わらず高い死亡率である。 今回の手術死亡は26.50%と前回の31.91%より低下し、成績は向上した。 |
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スライド34心破裂の手術成績の内訳を示す。 横軸は症例数を示す。 今回から心破裂は発生機序に分けて分類し、その成績を調査した。 心破裂の手術は117例に行われ、その死亡率は26.5%と前回の31.91%より低下した。 このうちblowout typeの総数は37例(32%)で、死亡率は56.75%と高かった。 バイパスを同時に行った症例と行わなかった症例の死亡率ほぼ同様であった。 一方、oozing typeの総数は80例(68%)で、死亡率は12.50%で、blowout typeより良好な成績を示した。 これもバイパス術の有無による死亡率の差は認められなかった。 |
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スライド35ここからは慢性期の心筋梗塞合併症に対する手術成績を述べる.左室瘤全体の手術成績の年次推移を示す。 横軸は年次、縦軸は死亡率を示す。 左室瘤総数(同時に虚血性僧帽弁閉鎖不全症の手術を行ったものを含む)の手術成績は最近は安定した成績である。 今回の手術死亡率は5.76%で、前回の5.10%とほほ同様であった。 |
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スライド36左室瘤・虚血性心筋症に対する左室形成術(左室瘤切除を含)のみを行った症例の手術成績を示す。 横軸は症例数を示す。 左室形成術のみの手術は昨年170例に行われ、死亡率は5.29%であった。 このうちバイパス術を同時に行った症例は132例(78%)で、その死亡率は5.30%で、行わなかった症例38例(22%)の死亡率5.28%と同様であった。 |
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スライド37虚血性僧帽弁閉鎖不全に対する手術成績を示す。 横軸は症例数を示す。 虚血性僧帽弁閉鎖不全に対する手術は今回597例に行われ、前回(451例)よりさらに増加した。 その死亡率は6.03%であり、昨年(5.98%)と変化はなかった。 僧帽弁形成術を行った症例は476例(80%)で、その死亡率は5.88%であった。 このうちバイパスを同時に行った症例は389例(82%)で、その死亡率は6.68%で、行わなかった症例87例(18%)の死亡率は2.30%であった。 僧帽弁置換術を行った症例は121例(20%)で、その死亡率は6.61%であった。 このうちバイパスを同時に行った症例は64例(53%)で、その死亡率は7.81%で、行わなかった症例57例(47%)の死亡率は5.26%であった。 |
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スライド38左室瘤・虚血性心筋症と虚血性僧帽弁閉鎖不全を合併した症例に対する手術成績を示す。 横軸は症例数を示す。 左室瘤・虚血性心筋症と虚血性僧帽弁閉鎖不全に対する手術は今回142例に行われ、その死亡率は6.33%であり、前回の死亡率6.49%とほぼ同様であった。 。 左室形成術と僧帽弁形成術を同時に行った症例は124例(87%)で、その死亡率は4.03%であった。 このうちバイパスを同時に行った症例は86例(69%)で、その死亡率は4.65%で、行わなかった症例38例(31%)の死亡率は2.63%であった。 左室形成術と僧帽弁置換術を同時に行った症例は18例(13%)で、その死亡率は22.22%であった。 このうちバイパスを同時に行った症例は12例(67%)で、その死亡率は25%で、行わなかった症例6例(33%)の死亡率は16.67%であった。 |
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スライド39結語(1)1.冠動脈バイパス手術症例は単独手術が減少し、他の手術との合併手術が増加した。 2.単独冠動脈バイパス手術全体の死亡率は2.12%、初回待機手術の死亡率は1.20%と前回より上昇し、手術成績は前回より悪化した。 3.初回待機手術の内、66%がoff-pumpで行われ、その施行率は昨年と同様で、依然高率であった。 しかし、その死亡率は1.22%と前回より成績は低下した。 4.Off-pumpからon-pumpへの移行率は1.8%と、前回より低下したが、その死亡率は6.42%と、前回より上昇し、課題を残した。 5.バイパス本数は平均2.98本と、前回よりも増加し、年々、より多くのバイパスを吻合する傾向にあった。 |
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スライド40結語(2)6.多枝バイパスほどoff-pump施行率が低下するが、4枝以上でも60%の症例がoff-pumpで行われた。 7.症例は年々、高齢化し、70歳以上は50%、80歳以上は10%を占めた。 8.動脈グラフトは全グラフトの60%に使用さたが、その使用率は低下し、静脈グラフトの使用率が増加した。 9.単独冠動脈バイパス術後の脳血管イベントの発生率は1.0%であり、off-pump症例での発生率が有意に低かった。 10.心筋梗塞後合併症では、虚血性僧帽弁閉鎖不全症に対する手術症例が増加し、その成績も良好であった。 しかしながら、後壁梗塞の心室中隔穿孔、左室乳頭筋断裂、blowout typeの心破裂症例の手術成績は依然として不良であった。 |
今年もご協力いただきましてありがとうございました。締切を過ぎてから送付されてきた施設のものはこの一覧に載っていないかもしれません。また送付していただいたにもかかわらずこの一覧に入っていない施設があるかもしれません。ご連絡いただければすぐに載せます。
連絡先:駿河台日大病院心臓血管外科 折目由紀彦
03-3293-1711(代)
yuorime@med.nihon-u.ac.jp
御協力頂いた施設一覧
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